一頭で七郷を潤す ― 船と鯨と資源の伝承」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

船舶解体業は、海の最終章を、美しく締めくくるビジネスです。

古くなった船をそのまま放置すると、海を汚したり、事故の原因になったりします。

 

そこで専門業者が、法律に従って適切に解体します。言うなれば「海のリサイクル工場」です。

 

船のほとんどは「鉄」でできているため、実は非常に価値がありほぼ全てリサイクル可能です。

船体の製鉄所へ、エンジン は中古市場へ銅線やアルミ などはリサイクル資源へ

 

これを知った時、古来日本の捕鯨文化に近いように思えました。

和歌山の古い伝承ですが、『古来より、鯨は日本人にとって富をもたらす神“えびす”であった

浜辺に打ち寄せられた鯨の肉を食し、皮や骨、ひげで生活用品を作るなど、全てを余すことなく利用してきたそうです。

 

大きな船舶の解体と凄く近いように感じます。

 

船は大きな“鉄のかたまり”いうなれば現代の鉄のクジラです。

それ全てが、価値ある“資源”なのです。

少し、ビジネスの話になりますが、

船の約7〜9割は鉄。

鉄スクラップ価格 × 重量

これが売上の柱になります。

つまりこのビジネスは、

「船を買う」→「分解する」→「資源として売る」

という、とてもシンプルで力強い仕組みなのです。この業界の収益は、ほぼ単純明快です。

 

売上 = 鉄スクラップ価格 × 回収重量

 

つまり、世界の鉄価格に強く連動する。

景気が拡大すれば鉄需要は増え、価格は上がる。

そのとき解体業者は高値で販売できる。

そして世界の船舶は確実に老朽化し脱炭素規制により、古い船は更新される。つまり、解体需要はゼロにもならない。

同時に循環型社会の流れは今後も加速していきます。

ただ、日本ではシップリサイクル法の下、厳格な環境基準が求められています。

船舶解体業と聞くと、荒々しいイメージを持つかもしれないですが、しかし実際は、極めて計画的で、法令遵守が徹底された産業である。

燃料や有害物質を適切に除去し、資源ごとに分別しないといけないです。

船は巨大ですが、作業は驚くほど繊細なのです。

さらに国際航行船では、条約対応 証書の整理

外国船籍の抹消手続きなど、複雑な業務が発生する。

ここで海事代理士の専門性が必ず求められます。

これを誤ると、解体後も“書類上は存在する船”になってしまいます。

船の最後の瞬間、その船を“正しく終わらせる”人が必要です。船舶解体業と海事代理士。一方が欠けても、船の物語はきれいに終わらないです。

 

“海の終点”でありながら、“資源の出発点”

 

最後に、那智勝浦に古くから伝わる言葉があります。

鯨は「一頭で七郷を潤す」と。

今尚、一隻の巨体な鯨が、多くの資源となり、社会を潤す。

その循環の精神は、時代を越えて伝承されていくと思います。(石﨑)

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