建設業許可の相談で、いちばん多く手続きが止まるのが「人」の要件です。経営業務の管理を行う役員(いわゆる経営業務の管理責任者)と、営業所ごとに置く技術者(営業所技術者)。どちらも、経験や資格が「あるかどうか」ではなく、「書類で証明できるかどうか」で判断されます。この記事では、よくある3つのつまずきと、その対策を整理します。
2つの人的要件のおさらい
| 要件 | 主な内容 | 証明に使う主な書類 |
|---|---|---|
| 経営業務の管理を行う体制 | 常勤の役員などのうち1人が、建設業の経営経験(原則5年以上)を持っていること | 法人の登記簿、個人事業主時代の確定申告書、その期間の工事の契約書・注文書・請求書 |
| 営業所技術者 | 許可を取る業種に対応する国家資格、または一定年数の実務経験があること | 資格の合格証・免状、実務経験期間の工事の契約書・注文書・請求書 |
どちらも、その会社に常勤していることが前提です。常勤であることは、健康保険・厚生年金の加入記録などで確認されます。
つまずき1:経験を裏付ける書類が残っていない
最も多いのが、経験は十分にあるのに、それを証明する書類がそろわないケースです。経営経験なら、その期間に建設業を営んでいたことを、年ごとの工事の契約書や注文書、請求書と入金の記録などで示す必要があります。個人事業主の時代の経験を使う場合は、確定申告書の控えも必要です。
実務経験で営業所技術者になる場合は、資格がなければ原則10年分の経験の証明が求められます。10年前の注文書や請求書を保管している会社は多くありません。取引先に過去の資料を出してもらえるか、通帳の入金記録で補えるかなど、早めに確認しておくことが大切です。
つまずき2:経験の中身が許可を取る業種と合わない
営業所技術者の実務経験は、許可を取る業種の工事の経験でなければなりません。たとえば内装仕上工事業の許可を取るのに、提出した注文書の多くが塗装工事だった、というように、書類の工事内容と業種がずれていると認められません。また、同じ期間の経験を2つの業種に重ねて使うことはできません。2つの業種を実務経験で取るなら、それぞれに10年、合わせて20年分の経験が必要になります。
つまずき3:常勤性や兼務の問題
経営業務の管理を行う役員や営業所技術者は、その会社に常勤している必要があります。ほかの会社の常勤役員や、ほかの建設業者の技術者を兼ねている場合は、原則として認められません。名前だけを借りる形はもちろん不可で、虚偽の申請は許可の取消しにつながります。また、会社が健康保険・厚生年金に加入していることも、許可の要件になっています。
資格がない場合の選択肢
- 資格を取る:施工管理技士の第一次検定に合格した人(技士補)は、指定学科の卒業者と同じように扱われ、資格がない場合より短い実務経験で営業所技術者になれる道があります
- 資格者を雇う:要件を満たす技術者を常勤で雇用する方法です。採用時に、資格の証明書類と前職との兼務がないかを確認します
- 経験者を役員に迎える:経営経験のある人を常勤の役員に迎える方法です。登記の手続きも必要になります
まとめ
建設業許可の「人」の要件は、経験や資格そのものより、それを書類で証明できるかが勝負です。申請を考え始めた段階で、手元にどの書類が残っているかを確認しておきましょう。行政書士法人SUNでは、お持ちの書類で要件を満たせるかの確認だけでもお受けしています。
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