建設業許可は、税込500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上など)の工事を請け負うときに必要になります。逆にいえば、それ未満の「軽微な工事」だけなら許可がなくても営業できます。

ところが最近は、工事金額に関係なく「許可を持っていないと発注できない」と元請から言われるケースが増えています。この記事では、許可が必要になる線引きと、取得前に決めておくべき「一般か特定か」「どの業種か」「知事か大臣か」の3点を整理します。

許可がいらない「軽微な工事」の基準

建設業法では、次の工事を「軽微な建設工事」とし、許可がなくても請け負えるとしています。

工事の種類 許可が不要な範囲
建築一式工事 1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅
建築一式工事以外 1件の請負代金が500万円未満

ここでつまずきやすいのが、金額の数え方です。請負代金は消費税込みで判断します。また、注文者が材料を支給する場合は、その材料の市場価格と運送費も加えて計算します。1つの工事を契約書だけ2つに分けても、合計で判断されます。「契約を分ければ500万円未満」という考え方は通用しないので注意してください。

一般建設業と特定建設業の違い

許可には「一般」と「特定」の2つの区分があります。違いは、元請として下請にどれだけの金額を発注するかです。

区分 必要になるケース
特定建設業 元請として受けた1件の工事で、下請契約の合計が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)になる
一般建設業 上記以外(自社施工中心、下請への発注が上記未満、または下請として受注する)

この金額は、令和7年2月1日の建設業法施行令の改正で、4,500万円(建築一式7,000万円)から引き上げられました。下請として仕事を受ける立場であれば、受注金額がいくら大きくても一般建設業で足ります。特定建設業は財産要件や技術者の要件が厳しくなるため、まずは一般建設業で取得し、元請の規模が大きくなってから特定へ切り替える会社が多いです。

29業種のうち、どれを取るか

建設業許可は、土木一式・建築一式の2つの一式工事と、大工・左官・電気・管・内装仕上など27の専門工事を合わせた29業種に分かれています。許可は業種ごとに取るため、「建設業許可を取った」だけでは足りず、「何の業種で取ったか」が重要です。

業種選びでよくある誤解は、「建築一式を持っていれば何でもできる」というものです。建築一式工事は、元請として複数の専門工事をまとめて管理する工事のための業種です。内装だけ、屋根だけといった単独の工事を500万円以上で請け負うには、その専門工事の許可が別に必要です。過去の工事の請求書や契約書を見ながら、実際に請け負っている工事の内容に合う業種を選ぶことが大切です。

知事許可と大臣許可

営業所を1つの都道府県内だけに置くなら都道府県知事の許可、2つ以上の都道府県に置くなら国土交通大臣の許可になります。ここでいう営業所とは、請負契約の見積もりや締結を行う事務所のことです。現場の所在地は関係ないため、大阪府知事の許可でも、東京や他県の現場で工事をすることはできます。

許可を取る前に確認したい3つのこと

許可を取るには、次のような要件をすべて満たす必要があります。

  • 経営業務の管理を適正に行う体制(建設業の経営経験のある役員など)
  • 営業所ごとに置く技術者(資格者、または一定年数の実務経験者)
  • 500万円以上の資金調達能力など、財産的な基礎

特に、経営経験や実務経験を「書類で証明できるか」が最大の山場です。経験そのものはあっても、当時の確定申告書や注文書が残っていないために申請できないケースは少なくありません。この点は、シリーズ第2回で詳しく取り上げます。

まとめ

500万円以上の工事を請け負う予定がある、元請から許可の取得を求められている、法人を新しく作って建設業を始めたい。いずれかに当てはまる方は、早めに要件を確認しておくと安心です。行政書士法人SUNでは、お手元の書類で要件を満たせるかどうかの確認から承っています。

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